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執筆者の写真Mizokami AndM

スキップフロアのある家のメリット・デメリット、間取りに取り入れるポイントと事例もご紹介


スキップフロアのある家のメリット・デメリット、間取りに取り入れるポイントと事例もご紹介




■スキップフロアとは何でしょうか?


スキップフロアは、1.5階や2.5階といった「中二階」「中三階」とも呼ばれる構造を持つ間取りです。このスタイルでは、一つのフロア(階層)内に複数の高さの床が設けられ、場合によっては「小上がり」とも呼ばれることがあります。

この高低差によって、壁が不要でも領域の変化を感じることができ、これが狭小住宅で採用される理由の一つとなっています。




スキップフロア:中2階の開放感のあるリビングから2階のダイニング
スキップフロア:中2階のリビング



・スキップフロアの特徴

スキップフロアの特徴は、同じ空間内で異なる床の高さが存在することにあります。これにより、視覚的なアクセントを生み出すことができます。また、同じ空間内でも天井の高さが異なるため、天井の高い部分は吹抜けのような開放感を演出し、高低差によって空気や光の循環が生まれます。さらに、床のレベルが異なるフロアを行き来するための階段は、通常の階段よりも段数が少なく、移動の間も居住空間として利用することができます。



・スキップフロアとロフトの違い

吹抜けがあるロフトとスキップフロアを比較すると、これらを混同してしまうかもしれませんが、実際には明確な違いがあります。ロフトは屋根の下の小屋裏空間を利用した追加の空間であり、一方、スキップフロアは通常の居住空間内で床の高さに変化を持たせるデザイン手法によって生まれる空間です。もちろん、スキップフロアにロフトを組み合わせることも可能ですが、それぞれの概念には異なる特性があります。



・スキップフロアの間取りの活用方法

スキップフロアは壁やドアを使用せず、床の高さの変化を利用して空間を区切る方法です。この特性を活かした間取りでは、各部屋の境界が明確に感じられつつも、空間が繋がっているため、プライベートな雰囲気を保ちつつも家族の存在を感じられます。壁がないため、開放感があり、住宅内が広く感じられます。


スキップフロアの間取りの活用方法には、さまざまな工夫があります。例えば、リビングから床を下げて別の空間のように使ったり、スキップフロアを子供の遊び場として活用したり、段差部分を収納スペースとして使うこともできます。これにより、家族の生活に合わせた快適な空間を実現することができます




スキップフロア:2階ダイニング・畳スペースから中2階リビング
スキップフロア:2階ダイニング・畳スペースから中2階リビング



■スキップフロアの間取りの実例


さまざまな工夫を凝らしたスキップフロアの間取りの実例をご紹介します。例えば、リビングから数段床を下げてプラスαのスペースをつくる間取りでは、生活の区切りがつきやすく、家族のプライベートな時間を確保しつつ、開放感のある空間を実現しています。また、各スペースで目線の高さが変わることで、異なるスペースを感じることができます。



・スキップフロアを建てる際の注意点

スキップフロアを作る際の注意点について考えてみましょう。

スキップフロアは、部屋同士を壁で区切るのではなく、高低差で分けることにより、階段のスペースが多く必要になるため、注意が必要なポイントがあります。


断熱や空調にも配慮する必要があります。部屋を壁で仕切らないため、空調設備の配置や断熱材の施工に工夫が必要です。暖かい空気や冷たい空気の循環を考慮し、適切な空調設備を用意することが重要です。


またスキップフロアは、建築費用が高くなりがちです。通常の間取りよりスキップフロアの場合は階段や床板などの工夫をしたり手間をかける必要があるため、建築コストが通常の家よりも高くなる傾向があります。また、耐震性を確保するためにも、適切な費用が必要となる場合もあります。


そしてスキップフロアの設計と施工には経験が必要です。複数の性質を持つスペースを共有するため、光や空気のコントロール、各々の関係性を考慮しながらプライバシーの確保などに細心の注意が必要です。設計段階から経験豊富な建築士や建築業者を選ぶことが重要です。


スキップフロアに関して自治体によって判断が異なる場合もありますので建築計画を立てる際には、自治体の規制に準拠するため事前に確認することが重要です。


その他には固定資産税が増加する可能性があります。スキップフロアを持つ家の床面積が増えるため、固定資産税が上がる場合があります。通常の家と比較して、税金の負担が大きくなる可能性があるため、予め注意が必要です。


掃除などで住んでから手間がかかる場合があります。高低差による空間の区切りが掃除を難しくすることがあります。階段や段差部分のお掃除には時間と手間がかかるため、掃除の負担を軽減する工夫が必要です。




スキップフロア:1階床さがり(中2階の下)の居室からワークスペース
スキップフロア:1階床さがり(中2階の下)の居室からワークスペース



■改めてスキップフロアのメリットとデメリットについてお話ししましょう。


【メリット】


スキップフロアは、従来の壁や階段で仕切られた空間とは異なり、2段階に分かれた階段や中2階のステージ、そして可動式扉やパーテーションが、広々とした空間をオシャレに演出します。


空間を段差で分けることで、立体的な印象を与え、おしゃれな雰囲気を醸し出します。また、独特な縦方向のつながりを生み出すことで、空間の広がりを感じることができます。


壁や扉がないため、圧迫感がなく開放的な雰囲気が漂います。家族同士の動線がかち合うことが少なく、効率的な動線を確保できます。また、換気がしやすく、明るい空間を保つことができます。


スキップフロアには壁がないため、光が遮られずに明るい雰囲気を保つことができます。また、隣接する空間に光を届けることで、より開放的な空間を実現できます。さらに、日光の暖かさを最大限に活用することができます。


スキップフロアでは壁を立てずに床面積を広く使うことができるため、実質の利用可能な床面積が増えます。また、建物のフロア数や床面積が制限される場合には、建築コストを抑えるためにスキップフロアを導入するこで有効になる場合もあります。


スキップフロアは、部屋の用途を柔軟に変更できるため、収納スペースや子供部屋、書斎など、さまざまな活用方法が可能です。この柔軟性により、空間の有効活用が実現します。



スキップフロアには、各々の部屋が壁や扉で仕切られていないことから生じる課題があります。しかし、これらの課題に対処する方法を考えることで、そのマイナス要素を補うことができます。




スキップフロア:中2階の開放感のあるリビングから階段越しにダイニング
スキップフロア:中2階のリビング



以下に【デメリット】とその対策をご紹介します。


・間取りの複雑さ

スキップフロアでは、階層が複雑になるため、部屋のつながりを理解するのが難しい場合があります。これを解決するためには、経験豊富な建築士やハウスメーカーに依頼し、設計や施工のノウハウを活用することが重要です。


・バリアフリー性の不足

階段を使用する構造のため、バリアフリー性が不十分です。高齢者や乳幼児の安全を考慮して、段差を小さくしたり、手すりを設置したりする対策が必要です。


・遮音性やプライバシーの欠如

スキップフロアでは壁がないため、音や視線を遮ることができません。この問題に対処するためには、パーテーションを設置したり、子供部屋などの個室を想定して間取りを考えたりすることが有効です。


・空調効率の低下

空間が縦に連なっているため、空調効率が低下する可能性があります。シーリングファンやサーキュレーターを利用して空気の流れを調整し、快適な環境を実現することが重要です。




スキップフロアを繋ぐスケルトン階段
スキップフロア:スケルトン階段



■まとめ

スキップフロアを取り入れると、住まいのデザインが大いに向上します。ただし、「建築費が高額になる」や「段差が危険」というデメリットも考慮する必要があります。これらのポイントを十分に理解した上で、自分たちのライフスタイルや希望する間取りに適しているかどうかを家族で話し合い、慎重に検討することが大切です。


スキップフロアは複雑な構造であるため、家づくりを始める際には、この分野に関する知識と経験が豊富な建築士やハウスメーカーに依頼することをお勧めします。




■福岡・博多で中庭のある注文住宅を建てるならAndM建築工房へ

家づくりのコンセプトは、ご家族構成や土地の条件、ご趣味など、様々な要素とご要望によって形成されます。お客様の願いを実現するためには、設計力と実現する建築力が必要です。 AndM建築工房では、ビルトインガレージや中庭、スキップフロアなど、それぞれに最適な条件で、お客様のご要望に合ったプランをご提案させていただきます。


中庭のある家を得意とする建築士

この記事の編集者

AndM建築工房 一級建築士事務所 

代表/一級建築士 溝上 拓己


1977年 長崎県生まれ/福岡市在住

​2000年 大学卒業後、建設会社、建築設計事務所、不動産会社勤務を経て、2018年AndM建築工房として活動開始。

建築設計・現場管理を経験し、構造・用途ではRC造共同住宅から木造戸建て住宅まで携わる。その経験と実績を基に不動産会社にて建築企画から販売サポート(接客)まで幅広く業務をこなし、新規部署(建築企画部)立ち上げにも携わる。クライアントやエンドユーザーとの対話から要望を形にしていく姿勢には定評があり、福岡を中心に住宅の建築設計を多数手がける。

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